No.a3fha502

作成 1997.2

 

「預言者」と「予言者」の違いとは?

 

●『旧約聖書』には「預言者」が重要な存在として登場するが、これを「予言者」と混同してはまずいであろう。なぜならば、本来、“予”の字は豫の省略形で「あらかじめ」という意味を持ち、「将来こういうことが起こるぞ!」と予告する人が「予言者」で、これに対し、「預言者」は、神の言葉を「預かり」、これを人々に伝えることを指名された人を指しているためである。


●「旧約の時代」では、“神”が自身の意志を述べられる時には、それをまず「預言者」に伝える、と考えられていたので、彼らは人々からの信頼と期待とを担っていた。そのため、「預言者」の言葉は、未来に関することも無数に含むが、過去を反省させ、現在に関して正しい選択と決断をするよう迫るものも多いのである。

また、預言者が、王を誰にするかを決定した。預言者が油を注いだ者(聖別したもの)が王となった。さらに時代を厳しく洞察して発言する預言者は、国政の御意見番として、時には王に対しても遠慮ない直言を浴びせていた。決して妥協することがなかった。特に、権力を乱用し、民を苦しめ、国としての行く道を誤らせるような王や政治家に対してそうであった。


●このように、預言者は王よりも発言力があり、民は王より預言者の言葉を聞いた。しかし、時代が変われば預言者の忠告も無視され、聞かれなくなることもある。時には迫害され、しばしば預言者は死に至る。しかも一層悲劇的なことは、民衆までが彼の敵となることであった。

そんな時代にあって、どこまでも孤独な人、時代を超えて生きる人、神の言葉(真理)に生きる人が古代ヘブライの預言者であったといえる。

 

 


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