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作成 1997.7
バチカン市国
●ローマ教皇を元首とするバチカン市国は、れっきとした世界最小の独立国家(国際法上の主権国家)である。バチカン市国はカトリック教会の総本山であり、東京・日比谷公園3個分の大きさしかないローマの「バチカーノの丘」に、約1000人の人口を擁している。
↑バチカン市国の全体図
●バチカン市国は第1次世界大戦後の1929年2月11日、教皇庁とムッソリーニ政府との間に結ばれた「ラテラノ条約」によって誕生したものだが、このバチカン市国の中にカトリック教会の中央最高指導部たる「教皇庁」があることに意義を持つ。
ローマ教皇は国家元首として絶対的主権を持ち、市国民は必ず直接または間接にローマ教皇に仕える者である。よって市民権は直接または間接に勤務する者とその家族に対し、教皇の名において与えられる。
“バチカン”という名称は、「バチカン市国」だけを指す場合と、「教皇庁」を指す場合とがあり紛らわしいので、国連の公称では「教皇座」と呼ばれている。
●そもそも教皇領は754年の「ピピンの寄進」によって誕生し、中世には広大な領域となったが、政治や俗事へ深入りをしたローマ教皇と神聖ローマ帝国の皇帝たちが争うようになり、14世紀の「アビニョン幽閉」の間に荒廃。バチカーノの丘は打ち捨てられた。
しかし1417年マルチヌス5世の教皇即位とともに「バチカン復興時代」が始まり、ルネサンス運動の興隆と相まって、荒廃したローマの至る所に聖堂・宮殿・救護所などが建設された。そしてローマ教皇が、もとのラテラノ宮殿ではなく、サン・ピエトロ大聖堂のそばの「教皇宮殿」に定住するようになると、それまでのラテラノ中心の教皇をめぐる教会生活が、バチカン中心に展開されることになったのである。
●1929年の「ラテラノ条約」によって独立国家となったバチカン市国は、独自の市民権や国旗・紋章・印璽とともに、外交権、通貨発行権、軍隊を持つ。基本的にバチカン市国の組織は一般の国家の組織と同じで、10の省のもとに裁判所など諸官署と事務局をもって運営されている。外交官特権を持つ使節は世界のどこへでも飛んで行けるし、国連にも議席を占め、種々の案件に対して単なる働きかけではなく、自らの一票も行使できるようになっている。(現在、バチカンに派遣されている外交使節団は100を超える)。
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